心から絶望を感じたあの日。見渡せばまるで地獄図のような世界だった。立っていられない振動に轟音を立てて近づいてくる波。そして、波で流されたにも関わらずちらほらと見える火。必死でその恐怖から逃げ切ったけれど、残ったのは我が身一つ。失ったものが多すぎて絶望を感じる事なんてなかったけれど、今、落ち着いて考えられるようになったら、自分が置かれている状況が良く理解できた。
これから私はどうすればいいんだろう。だけど、それは皆も同じで、皆疲労の色がとても濃かった。これからどうすればいいのかわからないという顔をして、失ったものが多すぎて起きる気力さえない人もいた。私もそう。考えられるようになるまでまるで人形のように虚空を見つめていた。そして、考えられるようになってこれからの事が不安になった。これからどうしていけばいいんだろうって。
でも、その中での救いがあちこちから送られてくる支援物資。思いだけでも嬉しかった。そうやって少しでも支えてくれようとする人の心が温かった。生きてきてこれ程感謝したことはないって程、感謝した。
普段はそのありがたみさえ感じる事さえないけれど、この震災が人との繋がりを皮肉ながらも教えてくれた。とても大切なもの。そして、まだまだ決して全てが片付いているわけではないけれど、神戸から「希望の灯」の火種をもらうことになって、その灯が届くのを待っていた。火種は小さくまるで少しの風が吹いたら消えてしまいそうな火。だけども、火が灯されたとき簡単には消えないだろうと思った。
人々の視線が希望の灯を見つめている。それは決して失わせない事をものがたっていた。火種は大切に運ばれ新たにうけ継がれた。その火を見て人は震災の事実を思い出し、そしてその火を消さない努力をするだろう。火は消える前に新たな種に宿らせ決して途切れることがないだろう。この火が未来を照らしその先もずっと消えることなく照らしていくだろう。
人の心にも決して消えない火なってこの時の思いを語り継がれていくことだろう。